のらりくらり日常日記

雑記。ただただ何の役にもたたないことを書くだけ。

梅雨寒の日の悔悟

高校1年の頃の最寄り駅にあるバスの乗り場は屋根がなく、広いロータリーど真ん中に何本かのバス乗り場がポンポンポンとあった。雨が降ると傘を指してバスを待つ。傘がない時は、阿吽の呼吸で隣の人と相合傘をしてた。もちろんわたしも例に漏れずいれてもらったり、いれたり。会話したり無言だったりさまざまに過ごす。

当時、お小遣い稼ぎに学校に内緒で地元のもんじゃ焼き屋で時給630円でバイトをしていた。夕方から10時までで、ママのお手製賄い付き。バターたくさんのたらこパスタが大好きだった。
油の匂いを全身にまといながら、とある親娘のお客さんのテーブルでママが会話したあとにそこの卓に呼ばれた。そして娘さんから話しかけられた。駅で、傘に入れていただきましたよねと。

わたしは覚えてなく、ただ、夏のその頃は夕立がよくある時季。いれたりいれてもらったりがよくあったので、多分そうだったと思うが「覚えてないです、すいません」というような返答をしたと思う。すごく助かったのありがとう。と改めてお礼を言われ、照れ臭くなって覚えたての接客モードから素のわたしのように、そんなことないっす、ぜんぜん大丈夫っす。押忍。押忍。みたいな極めて変な不器用な返事をしてしまった。

親娘が帰ったあと、ママがとってもとっても優しい目で、「良いことしたね」と褒められて、さらに照れ臭くてしょうがなかった。なんてったって高校生の1年、そろそろ終わるとはいえ反抗期末期の頃。背伸びしたい年頃、誉められることが嬉しいけど、とても恥ずかしい。それに、わたしは中学生の道徳の授業で週に3回良いことをしてノートに書いてさらにみんなの前で発表しましょうというときに、良いことを8割捏造していたような子供だったんだから。


この間、雨で保育園送りに手間取り仕事行くために早歩きで駅から駅に移動していた。女の人がうずくまっていたのが目に付いた。あ、声をかけようか、でも行かなきゃ会社には間に合わない、どうするどうすると迷っていたら男の人がさっと声をかけていた。それを見て協力しようかとさらに迷って、結局心の中でごめん。と謝り、会社に向かった。

でも後悔した。会社遅れても良かったんだし、声かけて遅れて盛大に遅刻して、しゃーないかとのんびりとお茶買って、電車乗ったったってよかったんだ。悔悟しつつ雨傘をいじり、ふと、この昔の傘の貸し借りのことを思い出した梅雨寒の日。

要領よく生きようとする大人になった今、不器用で反抗的だけど当たり前に相合傘をしたあの頃のように行動できるようにしていきたい。

かさ かしてあげる (幼児絵本シリーズ)