のらりくらり日常日記

雑記。ただただ何の役にもたたないことを書くだけ。

オースティンを求めてラヴクラフトを買った日

自粛が明けてすぐ、何か小説が読みたくて休憩中に書店に行った。
そのときは古典小説でジェーンオースティン的なものを求めていて、オースティンを読み返すか、いや新しい何かを・・・と思ってウキウキしながら足を運んだ。今の自粛を経ているメンタルからいって好きな自然主義文学はちょっとしんどい。読みかけのゾラは農村で遺産相続争いの真っただ中、結末はきつい展開なのは簡単に想像できるのでストップ中。淡い気持ちを抱くものが読みたい。
 
岩波文庫新潮文庫河出文庫を眺めてしばし。新潮文庫ラヴクラフトに目が行った。かの人のファンタジックなお話を書かれる帯の恩田陸さんにも納得。クトゥルー神話は知ってはいても原典を読んだことがない。買ってみるかと手にとった。古典恋愛が読みたかったのに、急に「古きもの」に惹かれてしまった。そして、数日であっという間に読んでしまい、幻想小説怪奇小説にはまってしまった。さすが始祖。面白い。ハマると悪い癖なのがどんどん欲しくなる。全巻買うのはさすがに、と思い厳選して、有名な『狂気の山脈にて』が入った全集単行本を買い読む。ポー、マッケンの怪奇小説も手に入れ読む。ひたすら読む。ダンセイニやブラックウッドも欲しいが、古書店でないと手に入らないものが多い。本は一期一会を痛感。ほかの集めている書籍とともに少しずつ蒐集していこうと誓う。
 
半年我慢していた美容院に行った。TRGPと本が好きの担当の友人に、ラヴクラフトの話をしてうれしい気持ちになる。知っている人に話ができる喜びたるや。最近は風が強い日で犬が吠えたら、「古きものが来ている・・・・・・」と一人で妄想して遊ぶのが楽しいと話をして、生暖かい目をされた。なかなか理解されない遊びなのは承知している。
 
ときめきが欲しいと思っていたのに、ふり幅が激しいものを選んだ。が、結果オーライ。得も言われぬ怖さをひたすら堪能しまくった後に読んだイシグロカズオの『日の名残り』は最高で、都営線の中でじんわりと涙を浮かべた通勤時間を過ごせた。書店で手に取った自分を褒めたたえて、ここ数か月の本の出合いに感謝する。ひとつ読めば読みたいものが無限に広がっていく。まさに沼! これだから本を買うのも読むのをやめられない。
 

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本に外れなし