アメリカのプロボクサー「ミッキー・ウォード」の伝記映画の『ザ・ファイター』。マーク・ウォールバーグ(tedの熊じゃないほう)が目当てで観たので、途中から「ドキュメントっぽいな。あ、伝記映画なんだ」と気がつくのらくら母。
おもしろい、という一言で済ませたくない、名作映画だった。
荒ぶるマークの演技が何よりも好きなので、わくわくしながら観ていたけど、途中から脇を固める俳優達の素晴らしい演技にこれはただの肉弾弾映画ではない、と思い、襟を整え、スマホ(アマゾンプライムにて視聴なため)を持ち直した。
怖いくらいの演技をするクリスチャン・ベール(兄貴役)とメリッサ・レオ(母)そしてパンチのきいた姉達
ここに出てくる奴らの腐り加減たるや、もうすさまじい。ただのバカというより、ほんとうにどうしようもないくらいの肥だめのような生活。
肥だめ世界の筆頭の兄貴役のクリスチャン・ベール、すごい。こういう腐った人のもつ、怖さというか、危なさとか不安定さがびんびん伝わってきてすごい。ボクサーとしての“過去の栄光”にだけ縋って、そこだけが誇り。誇れば誇るほど見える、悲しさ、あな辛し。
息子が大事で、ボクシングのマネジメントをする母役のメリッサ・レオ。大事だ大事だといいつつも、果たしてそれは息子(兄&弟)のためか?本当に?となんかずれていると思うけど、後半に見られる、やっぱり愛情だと伝わるシーンで、ぐっとくる。
どうやら、この二人これでアカデミー賞を取っていたとみた後に知り納得。
主人公にはこのイカれた悲しき兄のほかに、父親がちがう姉達がいるんだけども、これがすごい。完全にスケバン姉貴達。下品、口悪い、群がる、暴力的、まさに外道。
それでもこの姉達も家族が大事というのが最後に伝わったのがよかったなと。
ストーリーも、俳優達の演技も、マークの筋肉も、全部がハマった。
パンチが効き過ぎている身内に囲まれて、完全に末っ子気質のミッキーことマーク・ウォールバーグ。自己主張がほとんど周りにかき消されてしまう悲しさ。そこの演技もまた見事!
勝てないボクサー、薬中で自己主張の強い兄貴、家族のためという大機名分をかざしてアレコレ口出す家族、そこから抜けださせようという彼女・・・・・
今まで観た、感動もののボクシング映画とはちょっとちがう、でも心からよかったね。とグッとくる最後で、いい映画を見られたとしみじみ思った。
グッとくる撮影秘話
この映画でマークは自分のギャラ権利放棄して、体を作り込むのに実費をかけた、という男気のある記事を見た。
どこまでかっこいいんだ、マーク・・・・・・。
最初と最後の兄弟のインタビューシーンは、クリスチャン・ベールとマーク・ウォールバーグの即興だとか。
好きすぎる!!!!!!!
作り込んだこのマークの背中。・・・・・・言葉が出ません。
いい映画って、本当にプライスレス。